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Ватанабэ Хиротака. Дипломатия Японии в Восточной Азии и японо-российские отношения Печать E-mail
25.11.2013 г.
東京外国語大学国際関係研究所長 渡邊啓貴

「東アジアにおける日本外交と日露関係」

①    パワーシフトと国際構造認識

中国の台頭とインド・東アジアを含むアジアへの経済的比重の増大といういわゆる世界の「パワーシフト」を前に、米欧の影響力の後退、さらにアメリカの中国への接近という国際社会の見方は有力である。世界の構造は「米中二極構造」になるといわれた。ひとこの可能性についてよく議論された。

しかし中国の経済成長への懸念と人権・格差構造・汚職などの国内社会構造に対する懸念は次第に増幅されている。習近平政権の舵取りに対する評価も明確でない中、やはり二極化構造というのは適切ではない。アジアではインド、上海機構などの地域統合機構の発展にみられるように、世界は多極化の傾向を示している、と私は考える。その上で単独で、軍事・技術・経済面で突出したパワーを持っているのはアメリカである。その意味では、アメリカの政治学者ハンチントンが指摘したように、「Uni-multi polar」の構造(structure)が今日の国際構造であると思う。

②    日本の選択

そうした中で、日米同盟を核としながら、アジア戦略を立てていくことが日本外交の基本であるという考え方が日本の世論の大勢を占めている。その点では、私もこれに同意する。ただし、冷戦時代と異なり、アメリカの西側世界でのコミットの仕方は絶対的なものではなくなっている。むしろ「介入の正当性」「介入のコスト・パフォーマンス」というテーマは国際社会の多くの国が共有し、議論すべき重要な課題となっている。

したがって日本は冷戦思考の従来の外交を変えていかねばならない。バイラテラル・マルチラテラルの両方の側面から、より自発的な外交をこれまで以上に模索していかねばならなくなってきている。その意味では安倍政権の「積極的平和外交」はこれを評価できる。その上で、私が考えるのは、世界の多極化という認識の下に、周辺大国・地域との間を結ぶ広い視野での協力=安全保障共同体へのイニシアティブを発揮していく方向を強めるべきだと考える。

加えて、日米同盟が日本外交の基本であることは論を待たないとしても、私は日本外交は、よりグローバルな視野からのプレイヤー(global player)としての立場をもっと模索していくべきだと考えている。その意味では、世界の多極化構造という枠組みにおける発想はとても重要になってきていると考える。

③    周辺諸国との関係--最近の日露関係の接近

とくに領土問題は、歴史問題と強く関係を持ち、歴史認識とその解釈によって議論は係争当事国にとって感情的・主観的解釈になりがちな問題である。別な言い方をすれば、ナショナリズムを煽るイシューであるので、お互いにこれ以上激化しないために注意しなければならない。日本では国民の多くは冷静に考えているが、ナショナリズムの高揚に繋がる可能性は常にある。

そこで考えられるのが、日常的な安全保障・経済的な協力関係の強化であり、その際に共通のコンセプトを見つけていくことである。共通の目的は「東アジアの平和・安定・発展」であり、恒常的に各分野での接触を強化することにある。そして東アジアの国際的な共同体という法・制度的枠組みを超えた価値・行動規範を共有する理念を基礎にした協力関係の構築を目指す方向に進むべきである。その意味では、経済と安保の分野を同時進行的進めていこうとする最近の日露外交の接近は前向きのものとして捉えることができる。この方向を進めていくことはとても重要である。

2012年7月に玄葉外相がソチでプーチン大統領と会談したところから顕在化し、同年秋にパトルシェフ安全保障会議書記、シュワロフ第一副首相、キリル・ロシア正教総主教ら要人が次々と来日した。ウラジオストクのAPEC首脳会議でもプーチン大統領は野田首相を厚遇し、同首相の公式訪問を招請した。

ロシアは石油・ガスの有望市場として日本を重視、極東開発やアジア太平洋進出で日本の協力を得る姿勢を鮮明にした。

今年4月29日の首脳会談では安倍首相とプーチン大統領が署名した共同声明は「大戦後67年を経ても平和条約が締結されていない状態は異常」との認識で一致した。首脳の定期的な相互訪問や両国外相の少なくとも年一回の交互訪問実施により交渉を加速化し、「双方に受け入れ可能な形で最終的に解決する」ことを謳った。

また日露両国は2+2の立ち上げで合意し、今年の11月に行なわれた。2+2は米国・オーストラリアについで三カ国目であり、ロシアは日本にとって同盟国のような扱いとなる。大きな進歩である。

外務省とロシア安全保障会議との定期協議、防衛当局間・部隊交流の拡大でも一致した。共同声明では、エネルギー協力に加え、農業・医療・都市開発など新分野での協力拡大を明記した。プーチン大統領は日本からの投資を歓迎した。大統領は領土問題についても論及し、「二党決着論」を主張した。

こうした日露接近は、日本にとって単なる日露関係の歩み寄りという意味にとどまらず、日露が中国の脅威に対して協力を強めていく可能性を大いに持つことにもうひとつの大きな意味がある。

④    「価値外交」--文化外交の積極化

こうした日ロ関係の進展が先に述べた国際共同体への発展に向かうことを私は強く期待する。そしてそのときに「文化外交」の役割とその発展を両国はもっと推し進めてもよいのではないかと考える。

安倍首相は「価値外交」を主張しているが、文化と言ってもそれは単なる芸術・芸能・文化の交流をさすのではない。文化とは結局それぞれの国民が持つ「価値観」や「思考・行動様式」を意味する。その伝達媒体として、芸術や文学などがある。その意味では伝統芸能だけでなくアニメ・食文化を通して日本文化が次第に世界で人気を博していることは、日本の価値外交としての文化広報活動にとって追い風である。

ただし、日本ではこうした分野での海外活動についてまだまだ理解が不足しており、組織的な対応をとるための用意がまだまだ必要である。また受け皿として、ロシアにおける活動拠点をもっと整備していく必要もある。価値や思考様式を共有していく中で、「われわれ感覚=we-feeling」(constructvism)がどのように育まれて行くのか、そうした分野での一層の協力も必要であろう。知的交流・シンクタンクを通した意見交換の発展など議論していく領域はある。それは国際政治の分野で言えば、共有できる「安全保障文化」の創造と育成ということである。

2013年12月12日
 
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Институт Дальнего Востока РАН